青木香代子 研究室
人々の営みや社会のあり方が建築をかたちづくり、ひいては都市をつくる。
「建築は、空間に表現される時代の意志である」
これは建築家ミース・ファン・デル・ローエが残した言葉です。
当研究室では、建築は時代や社会の表象であるという前提に基づき、歴史的な事例について調査・研究をおこなっています。モニュメンタルな建築だけでなく、名もない建築の集合体としての都市も研究対象としています。また、今も残る建築だけでなく、既に失われてしまった建築や都市空間も興味深い対象です。史実の記録である公文書はもとより、年代記や絵画、現在の都市の中に見つけたかすかな痕跡、遺言書・日記・手紙などに記されている言葉の断片、そうした広範な史料の調査によって人々の日々の営みを想像し、それをまた別の史料により裏付けていく。このような調査を繰り返すことで、過去の建築や都市の姿を鮮やかに描き出すことができると考えています。
時空を超え、建築や都市空間のありようを知ろうとする行為は、決して懐古的な興味によるものではありません。
過去の建築がどのような ”時代の意志” つまり社会的・文化的な要請によって現れ、それが現在までどのように生き続け、あるいは失われたのか。それを紐解いていこうとする建築史・都市史研究は、必ずしも研究者を目指す学生だけでなく、デザイナーや建築家として活躍することを目標とする学生にとっても、これからの時代に必要とされる歴史観を培ううえで、きっと役立つはずです。

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about Kayoko AOKI
ph.d 博士(美術)
経歴
2000年 ヴェネツィア建築大学建築史学科(~2002年 イタリア政府給費留学, ロータリー財団留学生)
2003年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了
2005年 ヴェネツィア建築大学建築史学科(~2007年)
2010年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了
2013年 多摩美術大学非常勤講師
2023年 同准教授
研究テーマ
近世ヴェネツィアとその周辺地域の都市史・建築史
近代西欧における建築理論の展開ならびに日本におけるその受容
論文指導
「西洋・日本における廃墟観の比較に関する研究」2024年度
studio members, 2025 : トウ・ロンロン Rongrong DU | 児島扶実子Fumiko KOJIMA | 冨澤鈴花 Suzuka TOMISAWA

古地図(Friuli)

古文書(16C課税報告書)