米谷 ひろし 研究室
これまでに、空間デザインから家具、プロダクトデザインまで多岐にわたって考えてきたことです。
それぞれが苦悩を表しています。
これらと何か共有できる題材があるのであれば、一緒に掘り下げていけると思います。

花桔梗 「記号性と余白」
空間全体を白で単純化したのは、過去の記憶の清算と、ここから始まる静かな決意を「余白」を通して空間化したかったからだと思う。

MEMENTO 「イメージや記憶を呼び起こす」
用途や目的など一様の理解をされることがファインデザインであるとしたならば、それを超えたイメージや記憶を呼び起こすものが出来ないかと考えていた。

KLOCK WORX 「色彩による抽象空間、無意味の意味」
意味があるようで無いもの、もしくは無意味なようで意味があるようなことに惹かれる。 それは機能だけでは表せない「美しさも機能の一部」といった倉俣史朗の言葉が思い起こされる。
![CASE STUDY 01 [STOOL] 「空間エレメントにおける自然観」](https://cdn.sanity.io/images/vc59qo0u/production/cd8004c9ca9a94fa050a8f53c309e87b68345dfe-1123x749.jpg?w=1080&auto=format)
CASE STUDY 01 [STOOL] 「空間エレメントにおける自然観」
自然界にふたつとして同じものがないことを考えると、微妙な違いが自然だといえるかもしれない。 不揃いな一連のスツールは、日常的な空間エレメントの配置でありながら、何か自然観を表出する試みに派生していった。

青山見本帖 「機能の抽象化」
「空間自体が紙の見本帖」というコンセプトのもと、空間全体に約1500杯の抽斗が配置されたことで、「機能の抽象化」と呼べる空間となった。

Y-HOUSE 「空白の領域」
「空白の領域」とは、何にも属することのない無縁の空間であり、無縁の空間とは、AにもBにも、どちらにも属することのない中間の領域のことである。 この第三の空間としての「空白の領域」という発想こそ、さまざまな場面において日本的な空間を特徴づけてきたと思う。

FOAM 「均衡と不均衡の泡」
常に不安定な全体性の中で、個々の輪郭や境界線を絶えず変形させ消滅させ歪めてゆくような、均衡と不均衡とのあいだで派生し変動するような構造である。 単に自然の複雑さへと起源を遡行する試みではなく、むしろ無機的で単調な要素を押し進めていった先にある、新たな有機の姿である。

銀座蔦屋書店 「日本文化とアート」
用途や建築の骨格(構造)に沿った「大きな整理」による秩序だった空間に対して「小さな外し」を与えることで、人の目線やカテゴリーに緩やかな変化を与えている。 小さな外しとは、合理的な全体像に対する、非合理的、感覚的な違和感を与えるようなことである。

ARTIZON MUSEUM 「開かれた美術館」
都市型の美術館でありながら、街から地続きで繋がることで、アートと関わる新しい境界線をつくれるのではないかと考えた。 ここには場所として目的があるようでない余白といえる空間を残している。絵画にも「地と図の関係」や「余白との関係」といった世界が存在するが、 空間の余白にも人の創造性を動かす力を持っていると思う。

ARTIZON MUSEUM 「不揃いの自然体」
アルゴリズムはある問題状況において、正解を引き出すための一定の手続き、または思考方法のことで、その通り実行すれば特定の結論に達するという合理的な理詰めの方法をいう。 対して、ヒューリスティックスは発見法といわれ、いつも正解するとは限らないが、おおむね正解するという直感的な思考方法をいう。

KYOBASHI 美術館のための椅子
ミュージアムカフェには100脚近く並ぶことから「主張せずに際立つ美しさ」を目指した。空間に於ける、床、壁、天井、テーブル、椅子といった、様々なエレメントの一つとしてデザインしている。

SOKI ATAMI 無為自然の宿
沓脱ぎ文化を持っている我々は、その行為一つとっても境界線を顕在化することができる。 空間における「意識の領域」と呼べる見えない部分は、いわゆる暗黙の了解となり、これくらいで良いと思えることが求められる。つまり「無為自然」とは何かを考えることだった。

KYO AMAHARE 新旧対比
解体を進めると、古い梁・壁と共に高窓が現れ、その光は以前そうであったことを取り戻したかのように自然だった。架け替えられた階段はあらたな景色になり、新旧対比の違和感が空間の記憶になると思った。
About Yoneya Hiroshi
「デザインに時間と労力をかける」という、当たり前のことですが、大学時代から言い聞かせています。あまりにも単純なことですが、実際そうしていかないと、何も自分の身にならなかったからです。「次からもっとこうしよう」といったことの繰り返しになっていることが学んでいると勘違いしていたんだと思います。作品はそのつど自分自身の記憶として残っていきます。中途半端な繰り返しをしたくない、してはいけないと思うことがプロへの第一歩だったかもしれません。思う存分できる今、時間と労力、そして情熱をかけて最大限のものを見せてください。


ARTIZON MUSEUM

GINZA TSUTAYA BOOKS(photo:Nacasa&Partners Inc.)
経歴
1968年 大阪府生まれ
1992年 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業
1992年 スタジオ80在籍、内田繁氏に師事(~2002年)
2002年 TONERICO:INC.を君塚賢、増子由美と共に設立。同代表
2008年 多摩美術大学美術学部環境デザイン学科准教授
2013年 日本インテリアデザイナー協会選考委員
2017年 多摩美術大学美術学部環境デザイン学科教授
主な受賞歴
2005年 ミラノサローネサテリテデザインリポートアワード最優秀賞「MEMENTO」
2006年 JCDデザイン賞金賞「菓匠桔梗屋/名古屋」
2006年 グッドデザインアワード グッドデザイン賞「ami:kago-50.25」
2006年 JID賞 ビエンナーレ インテリアスペース賞「あんや/東京」
2008年 JID賞 ビエンナーレ インテリアプロダクト賞「MEMENTO by ixc.」
2008年 インテリアスペース賞「菓匠桔梗屋/名古屋」
2008年 インテリアプロダクト賞「CELL」
2009年 JCDデザインアワード金賞「KLOCK WORX/東京」
2009年 JCDデザインアワード金賞「WA:THE SPIRIT OF HARMONY AND
JAPANESE DESIGN TODAY./パリ」
2009年 SDA賞サインデザイン2012最優秀賞「YURAKUCHO LOFT/東京」
2012年 グッドデザインアワード グッドデザイン賞「ami-isu」
2012年 JCDデザインアワード浅子佳英賞「青山見本帖/東京」
2013年 毎日デザイン賞ノミネート
2014年 毎日デザイン賞ノミネート
2016年 JCDデザインアワード銀賞「千里バンパクLOFT/大阪」
2017年 APIDA アジアパシフィックインテリアデザイン賞金賞「XYL Kichijoji/東京」
2017年 APIDA アジアパシフィック審査委員賞「XYL Kichijoji/東京」
2017年 APIDA アジアパシフィックインテリアデザイン賞Bronze Award「XYL Kichijoji/東京」
2017年 APIDA アジアパシフィックインテリアデザイン賞2017銀賞「GINZA TSUTAYA BOOKS/東京」
2017年 APIDA アジアパシフィック審査委員賞「GINZA TSUTAYA BOOKS/東京」
2017年 毎日デザイン賞ノミネート
2019年 毎日デザイン賞ノミネート
2019年 TID賞商業空間部門入賞「A PIT AUTOBACS SHINONOME/東京」
2019年 Golden Pin Design Award ベストデザイン部門「A PIT AUTOBACS
SHINONOME/東京」
主な活動歴・所属団体等
2006年 フジテレビ放送 ニューデザインパラダイス出演「蚊帳のリ・デザイン」
2007年 メゾンエオブジェ出品「ami series」(パリ)
2007年 21_21DESIGN SIGHT 企画展「chocolate」
2008年 ミラノサローネ出展「TOKYO WONDER」(La Posteria Gallery)
2008年 Destination:Japan出品(MoMAデザインストア / ニューヨーク)
2008年 “感性 Kansei – Japan Design Exhibition”出品[MEMENTO by ixc./パリ]
2009年 NHK放送「トップランナー」出演
2009年 ギャラリー ル・ベイン“TONERICO:INC.Case Study 01[STOOL]”展
2011年 EuroShop//JAPAN SHOP Award審査員
2011年 “WA:THE SPIRIT OF HARMONY AND JAPANESE DESIGN TODAY”展
2013年 ギャラリー ル・ベイン“家具デザイン展「ものから関係へ」”
2013年 日本インテリアデザイナー協会(JID)選考委員
2014年 日本商環境デザイン協会(JCD)審査員
2015年 ギャラリー ル・ベイン“家具デザイン展「ものから関係へ-動き」”
2020年 BS日テレ放送「ぶらぶら美術・博物館」出演「アーティゾン美術館」
2020年 HBC北海道放送「今日ドキッ!」出演「アーティゾン美術館」
2020年 NHK放送「美の壺」出演「アーティゾン美術館」
建築、インテリアから家具、プロダクトに至る迄多岐に渡り活動